換指頭

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 昔々、ある大きな山に種々の法術に長けた一人の神仙がいた。ある日、神仙は山を降り「煩悩を抑え、悟りを開かせる働きのある智慧」を持った人を探し出し、神仙修行者として山に迎えようと思い立った。

 しかし、人選を間違うのを恐れ、厳しく考察しようと心に決めた。それで、神仙はあちこち村や町を歩いては人々にわざと石を金に換える錬金術を見せた。

 ところが、こともあろうにどこの村や町でも神仙が指さす石が余りに小さいので換えた金も小さく、誰もがもっと大きな金をほしがり皆不満だった。でも、神仙にしてみればこれでも精一杯大きな石を指差したのだったが……。

 人々の欲の深さに失望した神仙は山へ帰ろうと思い道を急いでいると向こうから男が一人やってきた。ダメ元で最後にもう一度試してみようと思い立った。

 神仙は前に懲りているので今度は大きな石を指差し;「私は神仙だ、この石を金に換えてあなたにあげる、好きなものを買ったり用立てることができる」と言った。ところがこの男は黙って頭を左右に振り、いらないとのしぐさをする。

 神仙は又かと、今度は思い切ってとても大きな石を指差し;「私は神仙だこの大石を金に換えてあなたにあげる」と言った。男は今度も黙っていらないと頭を左右に振るばかり。

 男の態度を見て神仙は、散々探し回ったがやっと見つけ出せたと高揚しとても喜んだ。この男なら修行すればきっと神仙にできると思った。

 神仙は純潔で精神的な言葉を期待して;「貴方は大小の金もいらないそうだが、それならどんな物が欲しいの?」と問うた。

 すると男は慌てず騒がずゆっくりと;「神仙さま、私はこの世でほしい物は何もありません、でもただ一つ欲しいものがあります。それは貴方が先ほど指さして石を金に換えたその指です。

 あなた様の法術で私の指と交換して下さい。さすれば、この世のあらゆる事物が私の自在になります」と言った。

 神仙は落胆し、後ろも振り返らず一目散に山への道を急いだのだった。

{中国古代寓話}より  写真は百度ネットの「史上最強的神仙図」より
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テーマ : 歴史小説 - ジャンル : 小説・文学